此処数日、雨が続いている。
 さあさあと柔らかい雨の音は嫌いではない。
 打つ様に降るのも、偶にであれば其れも又。
 そう言う季節であるから、と言うのも重々承知している。


 だが。


「うっぜえ……」


 此の湿っぽいのだけは。
 せめて風だけでも、と戸口と窓を開け放って、
 サンジはごろり、と畳に寝転がった。


「うー……」


 躯がべたべたと気持ちが悪い。
 気晴らしに風呂屋にでも行こうかと、
 仰向けに寝転がったままで戸口を見上げる。



「……」



 其の視界を、ふい、と影が通り過ぎた。


「  」


 ぽつり、眼に鮮やかな花の名を呟いて、
 サンジは小さく笑みを浮かべた。



 戸口から不意に吹き込んだ風が、
 汗を一筋、攫って消えた。



雨の日や門提げて行くかきつばた