今日も暑くなりそうだ。


 一寸立て付けの悪い戸をガタガタと開ける。
 其の内、ウソップの奴にでも直させよう等と思いながら。



「あら、」
 不意に目に入った井戸端に、見慣れた背中を見つけた。
 まるで井戸を見張る様に、仁王立ちになってぴくりとも動かない。
 こんな朝っぱらから、一体何なのだろうか、


「サンジ君、どうかしたの、」
 少し声を張り上げて彼を呼んだ。
「ああ、ナミさん、お早う。」
「何か落っことしたの、」
「いえあの……、一寸見てよ、」
 眉尻を下げて井戸を指差す。
 小走りで近付くと、指の差す先には朝顔の鉢植えがあった。
 何日か前に誰だったかが置いて行ったやつだ。
 そろそろ花を付ける頃だと思っていたが、



「あーらら、」
「ね、どうしようかと思って。」



 サンジ君が溜め息を吐いて、二人で苦笑した。


 鉢から伸びた朝顔の蔓が井戸の釣瓶に絡み付いて、
 薄青の花を咲かせていた。



朝顔につるべとられてもらひ水