グラスフルーツ
朝に予想していたよりも麗らかな陽気になった。
ログが溜まる迄は五日間、其の丁度真ん中の日。
職業柄、数少ない陸での休暇になるけれど、だからと言って特に予定も無い。
平生は食料と水、其れと酒の買い出しで手一杯で、なかなか食器を買い足せずに居たから、
ウインドウショッピングがてら、行ってみようか、
そんな気になった。
椅子に掛けていたジャケットを掴んで、キッチンのドアを開ける。
「千八百二十六。」
いきなり視界に入ったのは、ゾロの背中と、例の馬鹿でかい串団子だった。
「うーん……、」
ゾロが重みに慣れてくる度に重りが増えて行く所為で、いつの間にかとんでも無い事になっている。
普段は気にも留めていなかったが、活気のある港町で此は一寸恥ずかしい。
此が気にならなくなっていたなんて、と自分の適応力に感心した。
さて、どうしようか。
ジャケットから煙草を取り出して火を付ける。
一息、吐き出して、往復する串団子を見ながら片腕で手摺りに寄りかかった。
(なあ、おい。)
言いかけた言葉を、不意の風と蜜柑の葉音が掻き消した。
「…………。」
開きかけた唇を煙草で塞ぐ。
我ながら、どうかしている。
邪魔しないでおいてやろうか、なんて。
快い気候の所為だ、多分。
誤魔化す様に手摺りから身を離す。
都合の良い荷物持ちは惜しいけれど。
「一寸待ってろ。」
だのに、
「一寸って、ノルマ何回だよ、其れ。」
「二千。」
「んじゃ後百七十な。」
「……そうか、」
「引き算位出来ても良いんじゃないかなあ。」
「うるせえ。良いんだよ、」
まるで気付いていない風にしていたくせに、
「お前が出来てんだから。」
背中を向けたままでそんな事を言うから。
「お前、時々俺の事好き過ぎじゃねえか、」
茶化すのが精一杯だなんて多分お前は知らない。
何となく思いついた馬鹿ップル。
偶には上手になれないサンジさんも良いかなと思ったのです。