火去り手
空が、高い。
『いつになるかは分からないけれど、あの風景を見せたい奴が居る。』
気温は初秋。
其れでも幸いの晴天につき、日向はとても暖かくまずまずの好い日。
恐らく、今日という日でありさえすれば、雷雨だろうが吹雪だろうが、問題になどしないであろう連中だけれど、
だからと言って其れを望んで居る訳じゃない。
宴会は夕方から。
どうせじきに死ぬ程働かなくてはならないのだから、と昼食の片づけが終わるなり其の隣を陣取った。
「なあ、」
変に心が躍る。
慣れない昼寝に、まるで非日常に興奮する子供の様になって居る。
鬱陶しいと言外に告げる其の目も気にならない位に。
「何でも良いから、話せよ。」
「寝ねえならどっか行け。」
「けち臭えなあ。何でも良いって言ってんじゃねえか。」
「煩え。」
「所で寝物語もピロートークに入んのか、」
「知らねえよ。」
心底うんざりした声が妙に可笑しくて、くすくすと笑う。
仰向けに寝転がったまま空を見上げれば、其の高さに眩暈を覚えた。
「なあゾロ、」
「何だよ。」
「凄えかも知れねえ。」
「何が、」
「俺ったらロロノア=ゾロと昼間っから甲板で添い寝で昼寝してんじゃねえか。」
返事は返って来ない。
いい加減呆れられたか、無理も無い。
けれど、そんな事は最早正直どうでも良い。
「凄え。訳分かんねえ。」
くすくすと、
込み上げる笑いは止まらない。
暫く其のまま空を見上げて居たら、隣から溜息が聞こえた。
「おっ、何か話す気になったか、」
「いや、此れもいつかどうにかなっちまうのかと思うと時間の流れが空恐ろしくなるな、と思っただけだ。」
「はァ、」
訳が分からない。
ゾロも此方の疑問符に気付いて、漸く此方に顔を向けた。
「俺の故郷は冬になったら馬鹿みてえに雪が降るんだ。」
「へえ。良いじゃねえか、」
「ガキの頃は一体こんなもんの何が良いのかさっぱり分からなかったんだが、」
「……まあ、そう言うもんだろうなあ。雪ではしゃぐ様な性質には見えねえし。」
「今になって、そう悪いもんじゃねえと思う様になった。」
成る程、そうやって此の毬藻も風流を身に付けていくのか。
という話では無いんだろう、間違いなく。
「ああ、其れで考えちゃった訳だ。」
ごろり、
転がって甲板に頬杖をつく。
「こんな風に俺と話してるのが、いつか良いもんだったんだなあなんて、」
「思わねえ。」
強く否定する口調の割に、其の顔は少し、赤い。
何だこいつ、
うっかりこっちまで照れた。
「良いんじゃねえの、」
横目でちらり、ゾロを見る。
「愛されちゃって、参ったね。」
どうしよう、ね。
祝われる奴にこんなもん貰っちゃって。
此れから今日一日、どれだけ祝えば良いんだっての。
久し振りの更新。
うちの馬鹿ップルの馬鹿トークで御座いました。
もう一寸頭悪くても良かったかなあ。
何はともあれ、お誕生日おめでとう御座います、剣豪。