フロリア

壊れ物でも扱うかの様に、其れでいて雑に自分を抱く腕が暖かい。
其の中で、死にたくなる様な切なさと、死すら忘れさせる様な感情が渦巻いていた。
「なァ、」
胸に顔を押しつけたまま呟けば、僅かに腕の力が強まる。
「俺はさ、此の世で一番、お前が好きだよ。」
不器用に自分を包む、其の、
「其の、腕も、声も,目も、全部。」
愛しくて、たまらない。
「だけどよ、」
何がいけないんだろうな、
「俺は、此の世で一番、お前が嫌いだ。」
矛盾している。
矛盾ばかりだ。
好き、と嫌い、ってのは多分、一つの数直線の両端なんかじゃないんだ。
だろう、
平気で、同時に存在してくれる。
そして、世の中ってのはきっとそういうもので埋め尽くされている。
其れとも、俺がひねくれているだけか、
「ああ、」
低い呟きに、此のまま埋められてしまいたいと、思う。
「俺もだよ。」
其れならばいっそ、此のまま、
ふと、目を遣った左腕に、解けかけた結び目が見えた。
「バンダナ、解けてる。」
背中に回された両腕を外して、其れに手をかけた。
結び直した途端に、また抱え込まれる。
「なあ、」
先刻の自分の様な、呟きが聞こえる。
「抱いて良いか、」
「…お前、今の状況分かって言ってんのか、」
「そっちの意味じゃねえ。」
「分かってる。」
お前だから、願ってしまう。
「いーよ、」
俺と、俺に関わる全てを何処かに埋めてしまってくれ。
離れたくないと願いながら、其れでも俺はこう希んで、
| 某ゾロサンオンリーで、 サンジコスの人が、ゾロコスの人にバンダナを結んであげてたんです。 其れで、思わず。 |