こつん、煙草盆が音を立てた。
「好い加減、止めねえか、其れ。」
ゾロがうんざりと呟く。
「其の内、腹から煙が出てくるぞ。」
「五月蠅えな、其れなら安上がりで結構だ。大体、そんなもん俺の勝手だろうがよ。」
「俺が煙いから言ってんだ。」
すると、サンジはチ、と舌を打って、
「あっちは煙くねえんだろ、」
一筋煙を立てる蚊遣りを指差した。
「其れは人様の役に立ってんだ。お前のは糞の役にも立ってねえじゃねえか。」
むう、とサンジが眉を顰める。
「だったら此は烽火代わりだ。」
「何だ、そりゃあ。」
「手前が其の仏頂面を止める迄は俺も止めねえ。」
ふう、ゾロの顔目掛けて煙を吹く。
「手前、其れが烽火だったら、俺が笑ったって仕方ねえだろ。」
サンジの指からひょいと煙管を取り上げる。
一口、呑んで、
「ほれ、笑え。」
相変わらずの仏頂面。
「手前、其れは幾ら何でも俺に惚れ過ぎじゃねえか、」
思わずサンジが頬を緩める。
にやり、とゾロも笑みを浮かべ、
「此で用無しだ。」
ことり、煙管を煙草盆に放った。
蚊を焼くや褒似が閨の私言