日常空調





 気付いたのは最近の事だ。



 女共と話すとき、サンジは必ず風下にいる。
 煙草を控えられない代わりの、せめてもの心遣いだと言っていた。



 せめてもの、と言う割に其れは徹底している。
 元々サンジが其処にいて、女共が近付いてきた場所が風下である時、
 話している途中で風向きが変わった時、
 其の様な場合であっても、サンジは必ず風下に移動する。
 たとえ、其れが女共に不自然に見えたとしてもだ。



 女共に対する程ではないが、男連中に対しても一応は気にする素振りを見せる。
 不機嫌な時や、逆に機嫌が良過ぎる時など、
 わざと煙をかけてくる事もあるのだが。



 だが、どうやら自分だけは例外らしい。
 風向きの変化で一々場所を変える程徹底してはいないが、
 二人でいる時は気が付くといつも風上にいる。
 そして、此方から近付く時も、サンジを風上にしている。




「俺までニコチン中毒にするつもりか、手前、」
 一度、言った事がある。

「かもな、」
 そう言って、サンジは笑っていた。




「知ってるか、煙草って、吸ってる奴より周りにいる奴の方が害があるんだぜ、」
 一度、言われた事がある。

「知ってる。」
 そう答えると、サンジは少し照れた様な顔をした。




「別に、マーキングするつもりは無えんだぜ、」




「別に、手前の匂いだからって訳じゃ無えし。」

 

 例えばこんな風に、
 自分達は妙な所で似ている。



「口にした時点で、否定形の意味は無いわよ。」

 ナミに言わせればこんな所だ。



何なんでしょう此の人達。