路傍の果て

得たものは多かった。
自信とか確信とか野望への確かな一歩とか、
焦りとか。
全てが終わって、気付いてしまった。
黙っている事など到底出来ず、医者の制止を無視して外に出た。
傷が開く可能性など考えていられなかった。
「何やってんだ、筋肉馬鹿。」
精神の統一は、飄々とした声に中断された。
左右に伸ばした両腕にそれぞれ大岩を乗せたまま、目を開く。
目の前にしゃがんでじっと此方を見る、予想通りの姿があった。
「うるせえ、邪魔すんな。」
「チョッパーが牢屋の場所聞いてたぜ。」
「手前用じゃねえのか、手前こそ、何やってんだ。」
「蹴らない走らない喧嘩しないナンパしない。」
「何だそりゃ、」
「条件付きで外出許可取ってきたんだよ。一緒にすんな。」
「あーそうかい。」
喧嘩を売らない、という条件は無かったのだろうか。
殆ど無意識だから言っても仕方がないと諦められたのかも知れない。
せめて言い方だけでも変えれば此方の反応も違うだろうに。
「取り敢えず、何処へでも行ってくれ。」
こんな事をしている場合じゃないのだから。
「…らしくねえな、何あせってんだ。」
溜め息混じりの呟きに、怒りを感じた。多分、図星だったからだ。
「うるせえ、」
「ルフィに先越されたからか、」
「うるせえ、」
「だろうな。クロコダイルも鷹の目も、同じ七武海だもんなァ、
誰かさんにすりゃ、気が気じゃねえだろうよ。」
「 」
其の胸倉を掴んで引き寄せる。
ズウン、と岩が落下した。
「何が言いたい、」
殺意すら覚えながら睨みつける。
だが、此方を見る目は全く動じなかった。
「お前は、負けたのか、」
「何だと、」
「俺は勝ったぜ。文句のつけようが無い位にな。」
逆に、此方が射殺されるのではないかと思う程に。
「お前は、」
「…負けてねえ。」
胸倉を掴む手を、ぱしん、と振り払われる。
其の肘を膝の上に置いて頬杖をつき、一つ溜め息を吐いた。
其の表情は、何故か、諦めた様な、呆れた様なものに変わっていた。
「ルフィだって、別に初戦で勝った訳じゃねえし。いいじゃねえか、お前のペースで。」
「…」
反論しようにも言葉が出てこない。
其のまま黙っていると、もう一つ、溜め息を吐かれた。
「そんだけだ。ビビちゃんが気にしてる。俺達の道を邪魔したんじゃないかって。
ちったあ気ィ遣えよ、やっと肩の荷がおりたんだ。」
言いながら立ち上がり、服に付いた砂埃をほろった。
そして、くるりと背中を向け、
「あ、そうだ。先刻の話、冗談じゃねえから。傷口開く前に切り上げた方が身の為だぜ。」
「…牢屋か…容赦ねえな。」
「あいつの師匠に比べりゃ、充分温厚だろ。」
ひらひらと片手を振りながら、歩き出す。
遠ざかっていく背中を見ながら、何故か笑いがこみ上げた。
全く、敵わない。
一体、何度思ったか知らない。
「あれだけ言ってもやる事は一切変わんねえのな。」
「…悪かったな、」
「別に。調子狂うんだよな。一日一回蹴り起こさねえと。」
「…」
「だから寝てろ、お前。」
だからこいつはどうしてこう、
| 一寸青いゾロに挑戦。 うちのサンジはアニメ設定だと今日ちゃんに言われた事があります。 此の話は、特にそうかも知れません。 |