ソラノマソノラマ





「っだもー痛え痛え痛え」
 妙に広い背中に、頭と右肩と体重を半分預けて、
 自分の胴をぐるぐる巻きにする包帯に触れた。
 どういう訳か昔から、怪我をすると言ったら、
 打撲とか骨折とか内臓を痛めたりとかそういうのが多かったから、切り傷はどうしても慣れない。
 指や手であれば、職業病の様なものだけど。
「うるせぇ、」
 一体何回連呼したのかも分からなくなった頃、背中越しに低い声が聞こえた。
 触れた部分が同じリズムで振動してくすぐったい。
「黙れ、マゾ。よくもまあ好き好んで毎回毎回だくだく血ィ流していられるな。」
 いかにも鬱陶しそうに言われた事に腹が立って、言い返す。
「剣士っつーのはどうしてこうも変態ばっかなんだ、ザクザク切りやがって腹の立つ…」
 だからと言って、もう一匹のがマシかと言われれば、勿論一緒にするなと思うのだけど。
「ああもう痛え…。」
「皮膚を鍛えねえからそうなんだろ、」
「…いや、無理だろ其れ、」
「そうか、」
 馬鹿だろう、どうして其れに疑問符が付くのか。
「痛え―――――――――――。」
 ああもうどうしてこういう時に限ってやたらと心地良いのだろう、
 気温も天気も風も海も空も、何もかも。





(…マゾって、…お前もだろ。)
 寝息を立て始めた背中の怪我人を起こさぬ様に、腹の打撲を押さえた。



タイトルは此で合ってます。
空の間ソノラマ。
高校以来、こんな感じの言葉遊びを楽しんでいます。